- 子どもの頭痛について
- 子どもの頭痛の特徴
- 子どもの頭痛の診断
- 子どもの頭痛の治療
- 子どもの頭痛はすぐに治る?
- 子どもの頭痛は腹痛・嘔吐を伴う?
- 頭痛は遺伝する?
- 副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛になる?
- 子どもの頭痛はスマホが原因?
- 学校での頭痛への対応
子どもの頭痛について
子どもの頭痛は大人に比べると持続時間が短く、頭痛の発作時以外はケロッとして元気なため正確な診断が難しく、周囲の理解がないと、場合によっては不登校につながりかねません。頭痛に対する正しい理解と対処が重要です。
「頭が痛い」と訴えることができるのは5歳といわれていますが、2歳代で頭痛を訴えるお子さんもいます。楽しいことをしていても急に元気がなくなる、親にしがみつく、車に乗りたがらない、などが頭痛の診断につながることがあります。
小児、思春期の頭痛で代表的なものは片頭痛と緊張型頭痛です。12~14歳の中学生年代では片頭痛と緊張型頭痛が共存していることもあります。
小児期に頭痛があっても一生頭痛が続くとは限らず、また、頭痛が続く場合でも頭痛のタイプが変化することがあります。
頭痛について正しい診断を受け、薬の治療はもとより、規則正しい生活やテレビやゲームの制限など、頭痛が起きることを避ける生活習慣を身につけて、より良い頭痛治療ができるよう、専門医の受診をおすすめします。
子どもの頭痛の特徴
小児の片頭痛の特徴
- 朝起こりやすく、そのため登校困難の原因になりやすいです
- 突然、短時間で回復する
- 腹痛や嘔吐など腹部症状を伴いやすいです。食欲不振、吐き気や嘔吐を伴う腹部片頭痛は8歳ごろに多いといわれています
- 幼少期は男児が多いですが、年齢が大きくなるに従って女子が多くなります
- 頭痛の家族歴がある
- 車酔いしやすい
子どもの頭痛の診断
片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛と、頭痛の原因となる病気(小児では感染症と頭部外傷が多い)がある二次性頭痛とを鑑別します。問診と診察を行い、必要な場合にはMRIなどの画像検査を行います。MRI検査は撮影に時間がかかることから学童期のお子さんでは実施が難しい場合があります。
子どもの頭痛の治療
頭痛と診断されても、お子さんの場合には薬物治療だけでなく、日々の規則正しい生活がとても大切です。寝過ぎや寝不足にならないように、テレビやゲームで夜更かしをしないようにしましょう。暗い部屋でまぶしいゲーム画面を見ないようにしましょう。朝ごはんを食べないと血糖値が下がって、日中の体育の授業中に頭痛が起きることがあります。食事をきちんと摂りましょう。
遊びを止めるほどの頭痛が1時間以上続く、眠れない、学校に行けないなどの強い頭痛がある場合には鎮痛薬を使用します。
薬物治療
鎮痛薬
アセトアミノフェンとイブプロフェンが用いられます。
予防薬
鎮痛薬を連日使用する場合には、予防薬による治療を行います。
インデラル(プロプラノロール)
7歳から15歳未満の片頭痛に予防効果が報告されています。喘息があるお子さんには使用できません。
トリプタノール(アミトリプチリン)
3歳から18歳の片頭痛に対して頭痛頻度を減らす効果があると報告されています。
制吐薬
子どもの片頭痛発作では胃腸症状を伴っていることが多いです。制吐薬による治療で頭痛の改善が見られることもあります。
プリンペラン(メトクロプラミド)
プリンペラン(メトクロプラミド)は、消化器系の症状に対して使用される薬で、特に吐き気や嘔吐の軽減に効果があります。子どもの頭痛が片頭痛による場合、吐き気を伴うことが多く、その際にプリンペランが処方されることがあります。
子どもの頭痛はすぐに治る?
子どもの頭痛は、成人に比べると突然始まり、短時間で落ち着くことが多いです。突然「頭が痛い」と言い始めたり、しばらくすると何事もなかったようにすっかり元気になったりします。
子どもの頭痛は腹痛・嘔吐を伴う?
子どもの片頭痛では食欲不振、腹痛、吐き気や嘔吐を伴うことが多いです。1時間に何度も吐く発作が1時間から5日間続き、この嘔吐発作を何度も繰り返す「周期性嘔吐症候群」は片頭痛の症状の一部であると考えられています。
頭痛は遺伝する?
両親、特に母親が片頭痛だと娘が片頭痛になる確率が高いと言われています。原因遺伝子は解明されていませんので、遺伝的な要因に環境因子が加わって片頭痛持ちになるのではないかと考えられています。頭痛は体質だからと片付けずに、正しい診断と治療を受けましょう。
頭痛はストレスが原因?
人に影響を及ぼす心理的な出来事をストレス(心因)と言いますが、慢性頭痛の多くがストレスに関連しています。対人関係や周囲の環境からくるストレス、睡眠を含む日常生活リズムの乱れが、頭痛を悪化または慢性化させます。
子どもは悩みや葛藤を言葉でうまく伝えられず、頭痛や腹痛など体の症状のために結果的に不登校となっていることもあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)で頭痛になる?
急性副鼻腔炎が頭痛の原因になる事があります。
子どもの頭痛の10~25%は副鼻腔炎であると言われています。発熱、鼻閉、鼻汁、頬部痛などの症状によって診断します。
子どもの頭痛はスマホが原因?
暗い部屋でテレビを見たり、スマホのまぶしい画面を見たりすると頭痛の誘因になります。スマホを長時間見ているとうつむき姿勢になりやすく、また小さな画面を凝視すると眼の周りの筋肉と側頭部の筋肉が緊張して、緊張型頭痛を生じやすくなります。
学校での頭痛への対応
学校の保健室を訪れる理由の中で、「頭痛」は最もよくみられる訴えのひとつです。
子どもの片頭痛の発作時間は2~3時間と大人と比べると短く、運動で悪くなるため、保健室でカーテンをして静かに横になることで回復が期待できます。鎮痛薬は頭痛のタイミングを見計らって早めに内服するとより効果があります。学校生活での注意点や保健室での対処方法などをあらかじめ医師と相談し、担当教員の先生に頭痛について理解していただくことも学校生活の不安を減らすために大切です。