群発頭痛とは
片頭痛に比べると患者数は少なく、男性に多い頭痛です。20~40歳での発症が多いです。
片眼の周囲から前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が数週間から数ヶ月の間群発することが特徴です。
夜寝ている時に起こることが多く、夜間就寝後1~2時間してから激痛で目が覚めます。頭痛発作は15~180分続き、発作の頻度は2日に1回から1日に8回です。
春先や秋口など季節の変わり目に発症することが多く、ひとたび発症すると1~2ヶ月にわたり、ほぼ連日連夜、痛みに悩まされます。
頭痛は片頭痛とは異なり、体を動かすと軽減することから、頭痛発作中は歩き回ったり、布団の上で転げ回ったりします。
眼の結膜充血、鼻水、鼻づまり、発汗、流涙などの自律神経症状も現れます。
頭痛は夜間に多く、発作時間も短いことから医療機関を受診する頃には頭痛がなくなっていることが多いです。痛みの部位、頭痛発作の頻度、頭痛に伴う症状などを詳しく医師に話し、診察を受けることが診断につながります。
群発頭痛はとても激しくつらい頭痛ですが、生命予後や寿命には関係しません。年齢とともに頭痛の頻度は徐々に減っていきます。
群発頭痛の原因
群発頭痛の原因ははっきりと解明されていませんが、脳の視床下部が活性化して三叉神経と自律神経の異常が起きる、三叉神経の過剰な興奮が副交感神経を刺激するなどが群発頭痛を起こす仕組みではないかと考えられています。
アルコール、喫煙、香水、絵の具や揮発油の臭いは頭痛発作を誘発し、また悪化させます。群発頭痛には大酒家が多いと言われています。
群発頭痛の症状
症状には以下のような特徴があります。
- いつも頭の同じ側、目の後ろ、こめかみの痛み
- 我慢できないほどの激しい痛みが、15分~3時間ほど続く
- 頭痛のある側の目の充血
- 頭痛のある側の目からの涙
- 頭痛のある側の鼻からの鼻汁
- 頭痛のある側の瞼が腫れ、瞳孔が収縮することがある
- 痛みが側頭部や頬に広がることがある
- 発作は一定期間(通常1~2ヶ月)、ほとんど毎日起こる(群発期)
- 発作がおさまった後、頭痛がまったくない期間が3ヶ月~3年ほど続く
- 頭痛が起こると、痛みのためにじっとしていることができない
- 落ち着きなく動き回ったり、頭を壁にぶつけたりする
- 群発期の間は飲酒により痛みが生じるが、群発期を過ぎると飲酒しても痛みは生じない
群発頭痛の検査・診断
群発頭痛の痛みは特徴的ですので、症状から群発頭痛と診断することは難しくはありません。けれど、突然の激しい頭痛には、命にかかわるような脳の病気が隠れている場合があります。そのような病気を除外して、安心して群発頭痛の治療に専念するために、MRI検査で脳や脳血管を調べておくことをおすすめします。
群発頭痛の治療
群発頭痛の治療には片頭痛の治療と同じトリプタン製剤が使われます。
頭痛発作期の治療は、トリプタン製剤であるスマトリプタンの皮下注射が推奨されています。
酸素吸入も頭痛発作の治療として行われます。マスクをして15分間酸素吸入を行います。
いつ襲ってくるかわからない群発頭痛発作を完全に防ぐことは難しいですが、症状を起こす誘因、例えば飲酒や喫煙を避けると頭痛発作のリスクを下げることができます。予防治療として、Ca拮抗薬であるベラパミルという薬を内服することがあります。
もし睡眠時無呼吸と頭痛が関係しているのではないかと感じている方は、医療機関を受診して相談するとよいでしょう。