もの忘れ
もの忘れ
ちょっとしたもの忘れは、歳をとるごとにどなたでも経験する症状です。加齢現象としてもの忘れがみられることもありますが、認知症の始まりである可能性もあります。
ものごとを記憶したり、判断したり、順序立てて作業したりする脳の機能を認知機能といいます。認知症とは、この認知機能が持続的に低下することによって、日常(社会)生活に支障が出るようになった状態です。
ですので、もの忘れが認知症に気づく初めの症状であることがあります。
もの忘れが加齢による自然な症状ではなく、脳やからだの病気による認知症の症状であったとしても、早期に診断し、適切な治療を行うことによって回復が期待できる場合があります。根治的な治療法が確立されていないアルツハイマー型認知症などでも適切な薬物選択や生活指導を行うことで、症状の改善や進行抑制が期待できます。
当院では「病的なもの忘れ」を早期に発見し、適切な治療や生活サポートにつなげられるよう、神経学的検査、神経心理検査、画像検査などを行って、総合的な診断を行います。
主観的なもの忘れの症状があるが、認知機能は正常で、日常生活は正常に行える状態です。将来、認知症に進展することがあり、中年期からの高血圧、糖尿病、脂質異常の管理と適度な運動が進行予防に重要と言われています。認知症薬の適応はありません。
脳にアミロイドβやタウ蛋白という特殊なたんぱく質が沈着するアルツハイマー病によって脳の機能が障害され、もの忘れや記憶力の低下、仕事や家事を行うことができないなどの症状が現れます。病状が進行すると、言葉の理解ができなくなり、立つ、座るなど基本的な動作が困難になります。
アルツハイマー型認知症に次いで多い認知症疾患です。初期にはもの忘れなどの記憶障害が目立たず、うつ症状、便秘などの自律神経症状、睡眠行動異常などで診断されることがあります。
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害が起きて、その後に認知症の症状を呈します。
認知症はほかにも、
脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などの脳内の病気、甲状腺機能低下症やビタミン欠乏などの内科の病気が原因となることがあります。