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片頭痛

片頭痛とは

典型的な片頭痛は、頭の片側がズキズキと脈打つように痛みます。
中等度から重度の頭痛で、4~72時間続きます。吐き気がする、体を動かす(歩く、階段昇降など)と頭痛が悪化する、光がまぶしかったり、周囲の音に敏感になったりするといった特徴があります。
18歳未満の小児では頭痛が両側であったり、頭痛が続く時間は2時間くらいで短いことがあります。
頭痛の前に閃輝暗点などの視覚の前兆がある方もいれば、ない方もいます。


「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」

前兆のある片頭痛では、片頭痛発作の前60分以内に、視覚症状、感覚症状、言語症状などが現れ、それらに引き続いて頭痛が生じます。視覚前兆は最も一般的な前兆で、視野にジグザク形が現れ、次第に拡大し、閃光で縁取られたギザギザが視野をさえぎる、といった症状を閃輝暗点と言います。「キラキラした小川が流れる」「視野にビームが走る」「ギザギザした歯車で視野がさえぎられる」と表現されます。
眼の周囲が痛い、顔に風が当たるだけで不快、顔や手足のチクチク感などの感覚症状も前兆として現れます。
前兆のない片頭痛は、頭痛の様子や頭痛と共に現れる吐き気などの症状から片頭痛と診断します。


片頭痛を引き起こす原因

大脳の神経細胞の過剰な興奮、カルシトニン遺伝子関連ペプチドという物質が三叉神経に作用して痛みが引き起こされる、脳血管の拡張により拍動性の痛みが生じる、セロトニンという神経伝達物質の作用、など様々な原因が考えられています。
また、日常生活の中に片頭痛発作を起こしやすくする誘因があります。誘因や悪化因子を知ることは、より効果的な治療に繋がります。

頭痛をおこさない生活習慣のポイント

  • 過労をさける
  • ストレス解消
  • 規則正しい生活、睡眠を十分とる、寝過ぎもダメ
  • 月経周期との関係を知る
  • 台風や低気圧、天候の変化に気づく
  • 食事をきちんととる。空腹(低血糖)をさける
  • アルコール、チョコレート、チーズなど頭痛を起こしやすい食べ物をさける
  • カフェインの多いものを続けてとらない。コーヒー、紅茶、エナジードリンク、市販の鎮痛薬など

月経と頭痛

卵胞ホルモン(エストロゲン)が減少すると、セロトニンやカルシトニン遺伝子関連ペプチドのバランスが変化して頭痛が起こりやすくなります。
月経に関連して起きる片頭痛発作は、前兆はないことが多く、他の時期に起こる片頭痛よりも重く、持続時間が長く、治療の効果が出にくいと言われています。月経時の片頭痛には片頭痛薬と鎮痛薬を合わせて使用します。
当院では、女性医師が診察を行っています。月経時片頭痛の症状や治療法について、お気軽にご相談ください。


片頭痛の治療

 頭痛が起きたときの薬

アセトアミノフェン製剤

カロナール

小児の頭痛にも使用されます

非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs

ブルフェン

小児の頭痛にも使用されます

トリプタン製剤 

イミグラン(スマトリプタン)

日本で最初に発売されたトリプタン製剤です。

ゾーミッグ(ゾルミトリプタン)

RM錠と呼ばれる口の中で早く溶ける錠剤があり、どこでも手軽に服用できます。

レルパックス(エレトリプタン)

薬の血中濃度が最も高くなる時間が短く、速効性があると考えられます。

マクサルト(リザトリプタン)

薬の血中濃度が最も高くなる時間が短く、速効性があると考えられます。
RPD錠と呼ばれる口の中で溶けやすい錠剤があります。

アマージ(ナラトリプタン)

他のトリプタン製剤に比べて薬の効果が長く、月経時片頭痛や頭痛の時間が長い場合に使用されます。

レイボー(ラスミジタン)

セロトニン受容体に結合することで、片頭痛発作を起こす物質の放出をおさえます。めまい感や眠気があらわれることがあるので、服用量を医師と相談して内服しましょう。

 片頭痛を予防する薬

片頭痛発作が月に2回以上、または生活に支障をきたす頭痛が月に3日以上ある場合は、予防治療を導入しましょう。

予防治療の目標は

  1.  片頭痛発作を減らす
  2. 片頭痛発作が起きた時に内服する薬の反応を良くする
  3. 生活の支障を減らして生活の質を向上する

ことです。

主な片頭痛予防薬として

  • Ca拮抗薬
  • 抗てんかん薬
  • β遮断薬
  • カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP: calcitonin gene-related peptide)関連製剤

があります。

ミグシス(塩酸ロメリジン)

Ca拮抗薬です。血管の収縮と拡張を安定させることで、片頭痛が起きにくくなります。安全性が高いため、十分な効果が出るまで徐々に薬の量を増やすことができます。内服して8週間後には60%以上の患者で片頭痛発作の頻度が減ることが確認されています。

デパケン(バルプロ酸)

頭痛発作の頻度を減少させるとともに、頭痛の強度を低下させ、発作の持続時間も短くすると言われています。妊娠年齢の女性が内服する場合は、医師と相談しましょう。

インデラル(プロプラノロール)

高血圧、頻脈性不整脈の治療薬として使われますが、古くから片頭痛予防薬としても使用されてきました。頭痛頻度を減少させ、頭痛の強度も低下させます。リザトリプタンと同時には使用できません。

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP: calcitonin gene-related peptide)関連製剤

CGRP関連抗体薬は片頭痛の発作を抑制する注射薬です。原則的に、月1回、皮下注射で投与します。

以下全てを満たす患者さんに投与を行ないます。

  • 片頭痛と診断されている
  • 過去3ヶ月の間、片頭痛日数が1ヶ月に平均4日以上ある
  • 片頭痛の予防薬の効果が不十分である

エムガルディ(ガルガネズマブ)

治療開始後6ヶ月間の平均で、1ヶ月あたりの片頭痛日数が4.3日減少しました。
1ヶ月当たりの片頭痛日数が治療開始前より50%以上減少した患者の割合は59%でした。

アジョビ(フレマネズマブ)

治療開始後3ヶ月間の平均で、1ヶ月あたりの片頭痛日数が4.0日減少しました。
1ヶ月当たりの片頭痛日数が治療開始前より50%以上減少した患者の割合は41%でした。

*当院では、18歳未満の方、妊娠中・授乳中の方には投与していません。

 片頭痛に用いられる漢方薬

呉茱萸湯(ごしゅゆとう)

比較的体力の低下した人の反復性の頭痛、肩こりや嘔吐を伴う場合に使用されます。

五苓散(ごれいさん)

頭痛、めまい、悪心、嘔吐の症状に用いられます。気圧変化による頭痛にも使用されます。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

月経に伴う頭痛に用いられます。

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Neurosurgery Clinic

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