後頭神経痛とは
頚部(首)周囲の組織に由来する頭痛で、大後頭神経、小後頭神経、第3後頭神経が分布する後頭部に生じます。片側または両側のズキンとするまたは刺すような痛みです。
頚椎の第2頚脊髄神経の枝である大後頭神経は後頚部の筋肉の間を走行して僧帽筋を貫いて後頭部に分布します。小後頭神経、第3後頭神経も周囲の筋肉に分布しています。
第2頚脊髄神経と、眼の周りや額に分布している三叉神経第1枝は知覚が連動しており、第2頚脊髄神経や後頭神経が原因の痛みが目の奥や前頭部に関連痛として現れることがあります。後頭部の痛みに、目の疲れや眩しさなどの眼症状、眼周囲や額の痛みが加わります。これを大後頭神経三叉神経症候群と言います。
後頭神経痛の原因
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用による不良姿勢により後頭神経痛が起こることがあります。また、肩こりや首こりが関与している場合もあります。
後頭神経痛の症状
寝るときに枕で神経が圧迫されたり、頭皮や頭髪が刺激されて症状が出ることがあります。
- 後頭部や耳の後ろのズキズキした痛み
- ズキンと刺しこまれるような痛み、または鋭い痛み
- ビリッと電流が走るような痛み
- ブラシで髪をとかすと痛い
- 首を後ろに回すと痛む
- 数十秒も続かない
- 1日数回から多いときには何十回も起きる
- 首と後頭部の境目(首の中心から左右数センチの箇所)を指で押すと痛む
後頭神経痛の検査・診断
症状から診断することも可能ですが、二次性頭痛ではないことをMRI検査で確認、診断することをおすすめします。特に、椎骨動脈解離という血管の内膜が損傷する病気では、血管の損傷によって後頭部の痛みが起きます。鎮痛薬が効かない頑固な後頭部の頭痛は、脳の血管を検査しておいた方が良いことがあります。椎骨動脈解離は緊急性や治療法が一次性頭痛とは大きく異なります。
帯状疱疹による神経痛の場合もあります。鎮痛薬だけではなく、帯状疱疹専用の薬が必要になることがあります。
後頭神経痛の治療
後頭神経痛の治療は、姿勢の改善やストレスの解消など、後頭神経痛を引き起こす原因を取り除くことが基本となります。
症状は1~2週間で自然に治ることが多いですが、その間の痛みを抑えるために非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)や、神経痛の薬を使用します。肩こりが原因の場合は、筋肉の過度の緊張を和らげる薬や、上半身の血流を改善する漢方薬を内服することがあります。
後頭神経痛の予防法
後頭神経痛が起きないよう予防するため、以下の点に注意しましょう。
- デスクワークの間疲れやすい肩や首の筋肉を伸ばしてストレッチをする
- 作業机や椅子の高さが適切かどうか見直してみる
- パソコンの画面が低すぎないように気をつける
- スマートフォンは目の高さで使い、うつむきにならないようにする
- ストレスをためないよう、適度に気分転換をして気持ちをリセットする