気圧と頭痛について
雨が降る前や、台風が近づいてくると頭が痛くなるという経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
台風や低気圧、湿度などの気象の変化により頭痛が悪化することが知られています。
天候の変化によってセロトニンなどの脳内物質のバランスが崩れて、頭痛が起こりやすくまた悪化しやすくなると考えられています。
片頭痛の方の約半数は、天候と自分の頭痛が関係していることを自覚しています。片頭痛を持っている人の75%が、気圧が低下すると頭痛が起きると感じているのに対して、緊張型頭痛の場合は気圧の低下が頭痛に関連すると感じている人は20%です。暑い夏から肌寒くなる秋にかけて、寒い冬から徐々に気温が上がってくる春にかけては片頭痛発作が多い時季として知られています。片頭痛は季節性あるいは気圧性頭痛であるといえます。光過敏(太陽光が眩しく感じる、明るい場所が苦手など)が季節性の頭痛を起こす原因に関連していると言われています。
気圧性頭痛は、ズキズキする頭痛、吐き気や嘔吐、光や音に過敏になるなどの片頭痛に特徴的な症状に加えて、
- 顔面の不快感
- 喉に流れる鼻水
- 涙目
などの症状が現れることがあります。
頭痛の誘因になる天候や気象の条件
- 明るい太陽光
- 酷暑や寒冷
- ギラギラしたまぶしい光
- 高湿度
- 風が強い、嵐
- 乾燥した空気
- 気圧の変化
特に、低気温、高湿度が、頭痛の発作と頭痛の強さに関連します。
高温や高湿度は血管の拡張を起こすので、頭痛の誘因になります。
乾燥は血管の脱水を起こし頭痛を起こりやすくするので、十分な水分摂取に注意しましょう。
急激な気圧の変化によって体の中の空洞(例えば内耳や鼻腔)の圧が不安定になったり、気圧が下がることで体内の酸素濃度が低下したりして、頭痛が起きると考えられています。
季節性頭痛の対策
低気圧や台風が近づいてくると憂鬱な気持ちになる頭痛持ちの方も多いでしょう。四季のある日本ではお天気は季節ごとに移り変わりますが、どのような天気の変化が頭痛に関係するのか知って、お天気の影響を最小限にすることができます。
- 頭痛ダイアリーをつけて、頭痛がいつ起きたか、どのくらい続いたか、何が原因であったか記録をつけましょう。どのような気候が頭痛に関係しているか見極めることができます。
- 天気予報に気を配りましょう。風の強い日、とても寒い日は屋内で過ごすなど、できる限り頭痛の予防に備えることができます。
- お天気が気がかりな日は、頭痛の始まりに片頭痛薬を速やかに内服できるように準備しておきましょう。
- 普段から規則正しい生活習慣を心がけましょう。適度な睡眠、定期的な運動習慣、水分をしっかり摂る、過労を避けストレスを溜めないなどです。頭痛が起きないように心配りをした生活習慣によって、頭痛の頻度を減らし、頭痛の強さを軽くすることができます。
- 漢方薬を服用してみましょう。漢方薬の五苓散(ごれいさん)は、低血圧に関連した頭痛に効果があると言われています。五苓散(ソウジュツという成分配合)には、気圧が下がった時に自然に増える脳血流の変化量を少なく抑える効果があります。気圧による脳血流の変化を少なく抑えることから、お天気頭痛に効果があると期待されています。
- 当院では、どのようなタイプの頭痛か、片頭痛かどうか診断してから頭痛治療薬を選択します。お薬の治療だけではなく、上記のような日常生活の中でできる対策も頭痛の予防と治療に大切です。生活習慣のポイントについてもご説明しながら治療をおこなっていきます。