脳卒中とは
脳卒中とは脳血管障害とも呼ばれ、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)して脳の機能が障害される病気の総称です。
脳卒中は日本人の死因の第4位です。また、寝たきりとなる原因の第1位の病気です。寝たきりの原因は続いて認知症、骨折・転倒が上位ですが、脳卒中は認知症の大きな原因でもあります。寝たきりにならずに健やかな日々を過ごすためには、脳卒中を予防することがとても重要と言えます。
脳卒中の症状
脳は部位によって、運動機能や言語機能などさまざまな働きを持っています。そのため、脳卒中によって障害される脳の部位によってさまざまな症状が現れます。例えば、前頭葉は運動機能を担っていますので、前頭葉の障害では手足の麻痺や呂律のまわりづらさが現れます。後頭葉の障害では視野が欠けますし、小脳の障害では運動のバランスが取れなくなります。
脳卒中の症状は突然始まることがほとんどですし、できるだけ早い診断と治療が重要ですので、脳卒中を疑う代表的な症状を知っておくことはとても大切です。
- 手に持っているものを落とす、足に力が入らない
- 顔の麻痺
- 呂律が回らない、言葉が出てこない
- 歩けない、体のバランスが取れない
- 視野が欠ける
- 激しい頭痛
このような症状がみられたら、一刻も早く専門医療機関を受診してください。
FAST(ファスト)を知っておこう!
Face | 顔が麻痺している、ゆがんでいる |
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Arm | 片腕に力が入らない、片腕を上げられない |
Speech | 呂律が回らない、言葉がはっきりしない |
Time | 症状が出てから一刻も早い診断と治療が大事です |
脳卒中の診断
脳卒中の検査・診断は、迅速に行うことが何より最優先です。
神経所見を診察して、速やかにMRI検査を行います。脳出血か脳梗塞かを判断します。必要に応じて血液検査、心電図や超音波検査を行います。急性期治療と呼ばれる神経症状が始まってから直ちに行われる治療が必要な場合は、速やかに専門医療機関に紹介、搬送させていただきます。
脳卒中の種類
日本人に最も多い脳卒中は脳梗塞で脳卒中全体の56%を占め、次いで脳出血(30%)、くも膜下出血(10%)と続きます。一過性脳虚血発作(脳梗塞の前触れ)や血管性認知症も脳卒中に含まれます。
脳梗塞
脳梗塞は閉塞性脳血管障害と呼ばれ、脳を栄養する動脈に狭窄または閉塞が生じて脳の血流循環障害を起こし、神経症状をきたす病気の総称です。
脳血管が狭窄・閉塞する原因によってラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓、その他の脳梗塞に分類されます。日本では近年、脳出血が減少するとともに脳梗塞が増加し、脳梗塞の中でも動脈硬化が原因で起こるアテローム血栓性脳梗塞が増えています。
脳出血
脳出血は、脳の動脈が破れ、脳内に出血が起こる病気です。
脳内出血の約60%は高血圧性脳出血です。高血圧により血管壁にかかる血圧負荷が上がると血管壁が拡張していずれ破綻します。高血圧は脳出血の最大の危険因子です。
高血圧以外に脳出血を起こす原因として、脳動静脈奇形や脳腫瘍などの脳の病気や、血友病や血小板減少症などの内科の病気があります。
出血を起こす部位により視床出血、被殻出血、脳幹出血、脳葉出血などの分類があります。
治療は、血圧を下げる降圧治療と脳圧を下げる脳圧管理ですが、大きな小脳出血では開頭手術を行うことがあります。
くも膜下出血
日本における脳卒中の発生率と死亡率は減少していますが、くも膜下出血の発生はほぼ横ばいです。くも膜下出血は脳卒中の中でも死亡率が高く、重篤な病気とされています。
くも膜下出血の最大の原因は脳動脈瘤の破裂です。
破裂してくも膜下出血を起こす前に診断された脳動脈瘤を未破裂脳動脈瘤と言います。
未破裂のうちに脳動脈瘤を診断してくも膜下出血の発症を未然に防ぐことは重篤な脳卒中を防ぐうえで大変重要です。
脳ドックで脳卒中を予防しましょう
くも膜下出血、脳出血、脳梗塞などの脳卒中は突然発症し、速やかに治療を行なっても、手足の麻痺や高次脳機能障害と呼ばれる記憶や行動の障害が後遺症として遺ることがあります。後遺症は日常生活の質を大きく低下させます。
突然発症するまで脳卒中の原因となる病気があると診断されていなかった、または脳血管に病気があると知っていても脳卒中発症予防のための治療をしていなかったという場合もあります。
脳卒中のリスクを知り、発症予防の意識を持つために脳の健康診断を受けることをおすすめいたします。脳ドックをご活用ください。
頭痛は脳卒中の前兆?
頭痛持ちではないのに頭が痛い、普段から頭痛はあるがいつもと違う痛み、いつものように治ると思っていたのに痛みがどんどんひどくなる、そんないつもとは様子が違う頭痛がしたら、脳卒中の前兆かもしれません。 特に、突然の激しい頭痛は、くも膜下出血の初期症状の危険性があります。また、後頭部や頚部(首)が突然痛む場合には、椎骨動脈という血管の損傷(血管解離と言います)を生じている可能性があります。 このような症状が現れたらすぐに脳神経外科専門医の診察を受けてください。
MRI検査でくも膜下出血や脳出血を生じていないか、脳血管に脳動脈瘤や血管解離の所見がないか調べることが診断につながります。